CACA現代アート書作家協会 特別顧問 岡本光平

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~ご挨拶~
 今年の京都は祇園祭も中止になるような状況下ですが、関係者のご尽力でDAIMARU 京都店にて
 個展を開催させていただくことになりました。 
 しかしながらたいへん恐縮ですが、岡本は全日欠席させていただくことになりました。   
 一日も早い災禍の終息を祈りながら、またお会いできます日を切に願っております。 
 どうぞご無事にお過ごしくださいますよう、今後ともよろしくお願い申し上げます。  

岡本光平 拝

軸7-日出東方

「日出東方」(ひはとうほうよりいずる)/軸
 
★左右対称の4文字を金石の気による遅筆八分、速筆二分で盤石感の創出をイメージ。
★「日は東方よりいずる」と読みます。
西洋からファーイースト、極東と言われた日本は、太陽にもっとも近い国でした。さいはての島国であったがゆえに、ユーラシア大陸を西から東へ貫流した文化は日本列島で沈澱しながら発酵を繰り返しました。そしてその隔絶性から独自の進化を遂げた数々のガラケー文化をつくりあげました。
先進国になった今も、一方で太陽を御神体とする、原始的な自然崇拝を伊勢信仰として崇敬してきた稀有な民族です。言わば古代文化で言うところの太陽神殿です。そのような文化を温存している国は、今や他にはありません。
現代のテクノロジー文明はグローバルスタンダードの時代になりましたが、伝統文化にスタンダードはなく、差異こそが文化の本質です。

軸1-双龍壽字

双龍壽字図「長楽無極」(ちょうらくむきょく)/軸 

★中国で買い求めた、「壽」字だけ印刷された画宣紙に書いた阿吽の双龍書画。
★龍の起源は中国北方の紅山文化で発掘された玉製の龍がもっとも古く6~7千年前とされていますが、小生自身の内モンゴル陰山山脈の調査で、明らかに龍の原型と思われる12000年前の図像を見いだしました。龍は森で生まれたのでした。

軸2-雨洗風磨

「雨洗風磨」(うせんふうま)/軸 

★山がそびえ、河が流れる自然の気韻生動感を念頭にイメージしながら書いた古典的スタンダードを生かした連綿書。
★「雨が洗って風が磨く」と読みますが、風雨に叩かれた古寺の柱や苔むした岩を思い起こしてみると、それは劣化や退化ではなく、日本人特有のワビやサビの美意識に置き換えてきました。
山を削り谷をつくってきた歳月の刻印に、悠久なる時の流れを感じることは、太古からの生命循環の永遠性を感じることでもあります。

軸4-深山

「深山」(しんざん)/軸 

★二字をあえて一字造形化して一体の茂密感をイメージ。
★若い時、京都、滋賀、福井にまたがる芦生(あしう)の原生林の奥深くに足を踏み入れたことがあります。昼なお暗き樹木叢の温帯ジャングルは、マムシやクマの巣窟でした。道を切り開きながら清冽な水の流れを渡り、あたりは太古の空気に満ちていました。原始のままの深山幽谷は、生命のよみがえりの霊地です。

軸3-観想

「観想」(かんそう)/軸 

★あえて安物の暴れ筆を使用。筆そのものが運筆のブレーキとなり、遅筆ならではの含蓄ある線となる。
★「観」とは目には見えないものを感じとること。「想」とは心のなかに想いを結ぶこと。瞑想にふけると解釈したらいいかも知れません。沈思黙考し、遠い過去から現在、そして遥かなる未来にまで、一人の小さな人間が万物の生命潮流に心身をゆだねます。

軸5-炎日

「炎日」(えんじつ)/軸 

★たぎるような太い食い込み線は直曲のコンビネーション・モダニズム。
★炎日は太陽のことを言います。陽炎が立つほどにジリジリと照りつける白日の太陽。
この宇宙からの高エネルギー照射で、地球は豊かな生命循環を営んでいます。すべての生命の源は燃え盛る球体の太陽にあります。

軸6-乾坤

「乾坤」(けんこん)/軸 

★結果的に伝統造形法の三分割法のフォーマットに乗りながら二字一体構成の即興レイアウト。
★中国古代の「易」(えき)の卦(け)で言うところの乾は天、坤は地を指します。万物は相反する陰陽二気が合体し、新たな生命を生み出し、壮大な循環を永劫に繰り返します。私たちの存在もそのステージの一翼として在ります。

軸8-空

「空」(くう)/軸 

★羊毛長鋒による速筆細線で紙を切り裂くイメージ。最小限の黒で最大限の白を表出。
★ソラよりクウのほうが哲学的です。クウはゼロの概念を発明した古代インドにおける仏教思想のなかに組み込まれました。ゼロはまた光輪としてまだ仏像が生まれる前の仏陀の象徴でした。クウは何もないところにすべてがあり、そしてすべてはクウであると。日本人はクウを「余白」という目に見える美の空間につくりあげました。

軸9-猛虎仰天

「猛虎仰天」(もうこぎょうてん)/軸 

★書画すべて余白、余韻、余情。そのための線の品性、幽玄性、無限性。
★最近はヘタな戯画を時々描きます。ヘタでも本人は楽しいものです。虎と龍と蓮の三つしかレパートリーはありませんが、バージョン変化はいくらでも出てきますから書作の合間のいい息抜きになります。揚州八怪の金農も画を描きはじめたのは60歳も過ぎてからのようです。ヘタでも見る側も楽しんでもらえるなら喜びです。

軸10-賢愚

「賢愚」(けんぐ)/軸 

★ゆったりとした緩急で円転俯仰する線、端坐正中するかたち、奇をてらわない正攻法で文字を書く“書″の伝統の本義。
★賢いようで愚か、愚かそうで賢い、ということが人間模様のなかに多々あります。これはまた知能指数や学歴とは別な問題です。人間社会はどちらもいて調和ということでしょうか、自然の力学なのでしょうか。人間は、最終的にはどちらかわからない部分があるから人間なのだと思います。
愚は大事にすべきことで、織田信長の印は、生一本(きいっぽん)な「天下布武」でしたが「天下布愚」にしたら、うつけ者の本領発揮でユーモアもあっておもしろかったのにと思います。

旭日新風

「旭日新風」(きょくじつしんぷう)/軸 

★紙を板に見立てた「ノミ打ち線」と勝手に自称する刻法の筆使い。筆で線を引くのではなく、筆で線を刻む。
★朝日が昇り、清々しい風に新たな希望が膨らむと意味です。
「風」の字は、異体字といって時代によっても少し異なる点画で書かれてきた文字の歴史があります。とくに「寿」や「龍」といった神霊的な意味を含む文字には異体字がたいへん多く、「風」も元々は神鳥をあらわす文字でしたから異体字がいくつも見受けられます。

軸12-道

「道」(みち)/軸 

★字を書きながら字を書かない、字を書かないで線を引く、引いた線が字になる。豊潤なる健康線は豊潤なる健全心を宿す。
★字源というのは時々、恐ろしいような古代のルーツを秘めています。道は倒した敵の首を持って道を払い清める意味です。結果的にはクリーンな道の意味になるわけですが、ほとんどの漢字には呪術的(シャーマニズム)な意味合いが込められています。

軸13-仁義

「仁義」(じんぎ)/軸 

★篆隷、隷楷の書線は金石書の根幹を成すもの。紙を石に、筆をノミとみて線を引く。紙の表面に書かず紙の背後に書く意識。
★仁義なき戦いのヤクザ用語ではありません。本来は孔子の教えの儒教のなかで二千年もの長い間、もっとも大切とされてきたのが「仁」と「義」です。「仁」はいつくしみの心、「義」は正しい行いの意味です。この「仁義」は日本の武士道精神の骨格となりました。それが庶民の中に、果ては侠客にまで降りてきたわけです。

軸14-瑠璃

「瑠璃」(るり)/軸 

★傷んで割れる筆で超高速で書くと偶発的な思わぬ景色をつくる。書の即興もまた楽しからずや。この筆ならではの割れ線は、一種の貴重なジャズのノイズと同じ。
★ルリはふつう群青色の顔料の材料になってきたラピスラズリを指します。ツタンカーメン王の装飾にもたくさん使われていますが、アジアでは主にアフガニスタンでしか産出せず、古代においては青金石として金と同じ重さの価値がありました。中国の五行説では青色は東を意味することから仏教では東方を護持する仏さまとして「薬師瑠璃光如来」が生まれました。

軸15-莫作

「莫作」(なすなかれ)/軸 

★中速から高速へ加速した連綿による一気呵成の切り裂き線。刹那の書。
★「するべきことでないことはするな」の意味の禅語です。
連続線で書くことを連綿と言いますが、書体は当然続けやすい草書主体になります。そのアドリブの極致を「狂草」(きょうそう)と呼んで、中国唐時代の懐素(かいそ)、日本の平安時代の藤原佐理(ふじわらのさり)を名人の代表にしています。その後に一休さんが竹筆でバリバリとしたカスレの多い狂草を書きました。ここでカスレの美をはじめとして脱中国書道の日本の書が打ち立てられました。
日本人による、日本人の、日本人のための書は、一休さんに始まります。

軸16-無邊

「無邊」(むべ)/軸 

★筆を立てる、鋒先を利かすとは先人たちの言。筆はノド、ハラとあるが、どこを使おうが刀の切っ先に当たる先端のノド一点に集中して書く意識で、線の切れ味と深さが決まる。
★無邊(辺)とは虚空無邊(こくうむべ)という言葉があるように限りのない広さ、無限と同じ意味です。無邊光は阿弥陀如来の世界を限りなく照らす慈悲の光を言います。
例えばイメージとして、紺紙に金泥で書かれた経典の文字が、灯明の光りに照らされて満天の星空のようにキラキラと輝いているような姿が浮かびます。

額1-泥中蓮華-九谷焼

「泥中蓮華」(でいちゅうれんげ)/額 

★手書き文字と箔打ち画の九谷焼書画陶板。九谷焼ならではの絢爛華麗な伝統技術。
★泥の中だからこそ美しい蓮の花が咲く。4世紀の西域に生まれ、屈辱と波乱に満ちた生涯のなかで多くの仏典を漢字に訳した鳩摩羅什(くまらじゅう)の人生を象徴した語句です。

額2-灯

「灯」(ともしび)/額 

★点画の線をすべて点に置き換えるべくできるだけ短くした。大筆による超遅筆のニジミ効果。
★電気が今ほどふんだんではなく、戦後の日本中がまだ貧しかった時代を記憶しています。宵闇が迫るころにはどの家からも夕餉の支度をするオレンジ色を帯びた白色電球の灯りが洩れていました。物質的には豊かではなかったものの、今にして思えば時間はゆったりと流れ、ぬくもりのある各駅停車の時代でした。

額3-雨蛙

「雨蛙」(あまがえる)/額 

★濃墨、長鋒羊毛筆のブレーキ感のある線の素朴字。
筆に対して、言うことを聞かせるのではなく、こちらが筆の言うことを聴く。脱小我。
★都会暮らしが長くなると、蛙の声などはついぞ聞いたことがなくなりました。田舎育ちの少年の頃は、梅雨どきの田んぼで蛙の合唱を毎日耳にするのは当たり前のことで、季節の通過儀礼みたいなものでした。
オタマジャクシやザリガニ、セミやトンボは子どもの遊び道具でした。たくさんの風物詩に囲まれた少年時代は、二度とは還らない記憶のオルゴールみたいなものです。

額4-大河一滴-無限過去-走雲

「大河一滴 無限過去 走雲一片 無限未来」/額 

★ホゴ紙にクレパス書き。小さい時から馴染んだクレパスの適度な粘り感と溢れる色彩感。
★幾度かのシベリア探訪の際につくった自作詩。アムールの滔々たる大河、無辺なる大空、広漠たる大森林。地球創成のジオラマを見るような大自然の営みに、人間の小ささとけなげさを思います。

額5-蓮

「蓮」(はす)/額 

★ポップに点・線・面に記号化した文字造形。現代的に古典から逸脱する自由造形の楽しさ。
★蓮の花は仏教の清浄さのシンボルとしてエジプトから伝わったとされ、アジアで定着していますが、仏教が伝わる以前の4千年ほど前から中国では愛でられてきました。花が咲いてる美しさは言うまでもありませんが、一面に枯れた蓮池のシュールな景色にも心惹かれます。

額6-旭龍

「旭龍」(きょくりゅう)/額 

★日章旗を利用した一種のパロディ書画。創作にセオリーなし。
★中国発祥の五行説では、龍は太陽が昇る東方の神獣とされています。たまたま日章旗がふさわしいと思い付いて採用しました。龍は特徴をいくつか押さえて描きさえすればヘタでも一応、龍には見えてくれます。

素眞

「素眞」(そしん)/額 

★自分でつくった手漉き紙に、寡黙にして静ひつな細線による余白感。
★「素にして眞」とは、飾らない、媚びない、シンプルな中に誠実さと実直さが宿るという意味合いです。簡単ではありませんが、心がけるべき大切なことだと思います。

額8-祝祭

「祝祭」(しゅくさい)/額 

★自分で漉いた紙の風合い(テクスチャー)を生かすつもりで、実際にはない古代文字をどこかにイメージした線記号と空間バランス。
★世界には漢字以外にたくさんの古代文字がありました。漢字にもより古い記号の時代が地域的にありました。
人類は文字以前に絵画、文様、記号をより早くにつくりました。それらには何らかの意味があったはずで想像のロマンを掻き立てられます。それらの原始記号や原始文字を想像し、イメージを膨らませて空間配置しました。手漉き紙のプリミティブな質感や風合いも同時に引き出そうと意識しました。

額9-無限

「無限」(むげん)/額

★段ボールにハケ書き。この段ボールの素材だけが持つ、ラフでカジュアルな質感を生かして楽しむことが第一。すべては素材を生かせるかどうかは素材が教えてくれる。
★若い頃は段ボールによく書きましたから、昔から相性や馴染みがあり、ハケ書きもよくやりました。素材との出会いで字さえ書ければ何でもいいのです。どんなものでも書けます。若い時も今もそのように思っています。書道は形を上手く書くこと、書は空間性を引き出すこと、書アートは素材にこだわらないフリーであることです。

額10-春秋令和

「春秋令和」(しゅんじゅうれいわ)/額

★古いタイプの楷書はまるで現代のゴシック体のようで、飾り気のない武骨さ、古朴さが魅力。結果的に蓮華如来を中心に、文字が四天王のような図式配置。
★書画作品はふつう画を先に書き、賛として書をあとから書き入れます、この作品は逆に字を先に書き、後から画を描き入れました。すると計算外のバランスになることがあります。そこに新鮮味があり、常にセオリーに縛られないようにします。
夏冬がなくても春秋だけで一年を意味します。令和はうるわしくなごむの意味ですから、つつがなく平穏な一年という意味になります。季節は何があろうとも必ず巡ってきます。花は咲き、鳥は啼き、風や雨が季節の使者となります。

額11-塩梅

「塩梅」(あんばい)/額

★古典スタンダードの行草書は、どこで線を切るか、どこをつなげるか、実画と虚画の組み立てがメロディーとしての線の演奏法。
★「塩梅がいい」という言葉があります。いい梅干しをつくるのには塩加減やお天気が難しいようです。何でも頃合いと分量が大事ということですが、結局は経験から導きだした勘です。職人と言われる人たちはその磨きあげた勘をもってプロフェッショナルと言われます。書家も職人が基本です。

額12-華龍

「華龍」(はなりゅう)/額

★花柄の包装紙を再利用。花をまとった春の女神のようなフローラ・ドラゴン。素材との未知との遭遇が創作の醍醐味。
★書の定義は筆紙墨の限定素材に限ること。そこで素材フリー、文字の可読性を逸脱するとアートの領域へ。どちらでもいいことですが、考えてみると紙のまだなかったような古い時代の書の本来は、素材の何もかもがフリーでした。定型俳句と自由律俳句のようなものです。どちらであろうと「すべては自分の表現」(河井寛次郎)に共感します。

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